毎朝6時頃、海まで犬の散歩に行く。
すると、猛暑を避け、同じように早朝散歩を決行する犬と飼い主にたくさん遭遇する。
今朝、浜を歩いていると向こうから、リードなしの中型犬と、ロン毛にタンクトップ、メガネのお兄さんが走ってくるのが見えた。たぶん前にも見かけたことがある二人(一人と一匹)だ。ジョギングとかそういう型式ばった走り方ではないけど、犬に合わせていつも走っている人。
うちの犬が興味を示し、その中型犬に駆け寄っていく。軽いフットワークで「あそぼ」と誘ったが、中型犬は相手にしない。それを見たお兄さんは、「遊びたがってるのにね(ごめんね)」という感じで、ニコッと会釈して犬の跡を走っていった。
わたしには、その二人の残した空気感が、なんだか心地よかった。
散歩中の会話って、表面的だ。当たり前だよね。また会うかもわからない相手だし、表面上友好的に丁寧にしていればそれでいい。「可愛いですね!」とか「遊んでもらってありがとうございます」とか非常に丁寧で感じ良いけど、ただ、「まあ本音ではないよね」ってことが多い。要はお互いシャッター閉じながら、覗き窓から目だけニコニコさせて会話してる感じだ。
でも、今日の二人は、ちょっと違った。言葉少ないし、過剰な愛想もないけれど、純粋にうちの犬の「あそぼ」を察知してくれていた。その上で犬の方は「あそばないよー」ってストレートに表明してたし、飼い主は「遊びたかったよね」って、飼い主である私に忖度するんじゃなくて、純粋に犬に対して詫びてくれてた。
飾らない、「そのまま」で接してくれてる感じがしたのだ。犬にもわたしにも。
それがとても気持ちよかった。
その帰り、うちの犬が、散歩中のブルドッグに吸い寄せられていった。見ると飼い主は全身タトゥーの強面お兄さんだ。うわー、犬も飼い主も怖そうやん、勘弁してよー。と思いながらも、急なUターンも失礼だし、犬は一直線に向かってるし、で渋々近づいていって挨拶した。
そうしたら、最初は硬い表情だったお兄さんが段々とニコニコして、「可愛い犬ですねー。なんて種類ですか?」など嬉しそうに色々話してくれるのだ。きっとお兄さんと犬のビジュアルから、さりげなく避けられることも多かったのかな?と勝手に想像した。
でも話してみたらやさしい人だった。犬が好きで人が好き。そんな雰囲気。
まあ人を見た目で判断してるのはモロ私なんだけど、でもやっぱり人は見かけじゃないよな、って改めて思った。見た目でも、年齢でも、職業でもなくて、存在そのもの同士で接せれたらそれだけで嬉しいし、そこには見えない何かが生まれてる。逆に、どれだけ盛り上がっても、親しげでも、それが存在の手前の表面止まりだと、そこに存在同士の喜びは生まれない。
存在同士のふれあいって、実はありふれた日常にたくさん溢れてる。そう思えたやさしい朝。


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